ノーベル晩餐会 センターテーブルのセッティング |
アルフレッド・ノーベルの命日である12月10日に毎年行われるノーベル賞授賞式は、スウェーデンにとっては国を挙げての一大行事です。コンサートホールでの授賞式と市庁舎での晩餐会の模様は、国営テレビで最初から最後まで生で放映されるので、外が暗くて娯楽の少ないこの時期、スウェーデンに暮らす人はほぼ全員、中継を見ているのではないでしょうか。
ノーベル晩餐会が行われる市庁舎 |
2002年の田中耕一さんと小柴昌俊さんの受賞以来、ノーベル賞は日本でも注目されるようになりました。その後、2008年、2010年、2012年に日本人受賞者が出ました。2012年の山中伸弥さん医学生理学賞受賞はまだ記憶に新しいかと思います。高齢の受賞者が多い中、まだまだ現役で活躍している山中さんは際立って若く、マデレーン王女と談笑する様子は堂々としていて、同じ日本人として誇らしく感じました。
ストックホルムの市庁舎にあるレストラン(Stadshuskallaren=スタッズヒュース シェーラレン=市庁舎の地下レストラン)では、予約をすれば前年のノーベルディナーを食べることができます。(レストラン営業時の24時間以上前に要予約)
レストランの入り口 市庁舎の端にある小さな入り口です |
壁画が市庁舎の黄金の間を彷彿とさせます |
山中さんが召し上がった2012年のメニューは・・・・・・
<前菜>
『Marinated arctic char with califlower terrine,
Kalix bleak roe and dill mayonnase
『Marinated arctic char with califlower terrine,
Kalix bleak roe and dill mayonnase
イワナのハーブスパイスのマリネとカリフラワーのテリーヌ
カリクス産コクチマス魚卵とディル入りマヨネーズ』
四角いオレンジ色部分がイワナのマリネで、白い部分がカリフラワーのテリーヌです。
テリーヌの上に載っているオレンジのものが、とびこのような小さな魚卵(カリクスというのはスウェーデンの北のほうにある地名です)で、右下の緑のものが香草ディルの入ったマヨネーズです。
イワナのマリネがお刺身風で日本人には親しみやすい味です。
<メイン>
『Phesant with chanterelle mushrooms, poached pear, winter vegetables,
almond potato puree and red wine gravy
キジとアンズタケ 茹で西洋なし 冬野菜 マッシュドアーモンドポテトと赤ワインソース』
almond potato puree and red wine gravy
キジとアンズタケ 茹で西洋なし 冬野菜 マッシュドアーモンドポテトと赤ワインソース』
お皿の左上にあるのがキジです。真ん中の部分が白くなっているのがわかりますか?キジの白い肉の部分を赤い肉の部分で巻いたそうです。
お皿の右上の白っぽいものが洋ナシです。
マッシュドポテトは別のお皿で出てくるので、お好きなだけ取ってお召し上がりいただけます。普通のじゃがいもではなくて、ちょっと甘みのあるアーモンドポテトといわれるおいもを使っているところが手が込んでいますね。
しつこくなく、軽いので無理なく完食できました。
カンタレラ(アンズタケ) |
アンズタケというのは、夏から秋に出回るカンタレラという黄色いキノコです。野菜と一緒に盛り付けられています。
飲み物は、最初にシャンペンとワイン、そして最後にデザートワインが付いています。
<デザート>
『Trilogy of cherries with pistachio-covered mascarpone cheese and black cherry sorbet
チェリーのトリロジー ピスタチオをまぶしたマスカルポーネのケーキ
チェリーのトリロジー ピスタチオをまぶしたマスカルポーネのケーキ
ブラックチェリーのシャーベット』
真ん中の緑色のものがピスタチオをまぶしたマスカルポーネのケーキで、見た目は抹茶ケーキのようでした。
右側がシャーベット、左側がチェリーのコンポートで、この3つでトリロジー(3部作)ということのようです。
さっぱりしているのでぺろっと食べられました。
このあとにデザートワインとコーヒーが出されます。
(日本人受賞者がお土産に大量に買い込むことで有名なノーベルチョコはここでは出ませんので、ノーベル博物館に行って買って下さいね)
*フランス語・スウェーデン語メニューはこちらをご覧下さい。
テーブルには英語/日本語のメニューが用意されています。メニューにはそれぞれ独自の番号が付いているので、このメニューはあなただけのスペシャルメニューです!
もしかすると男性にはちょっと物足りない量かもしれません。日本のフランス料理のレストランで出される量と考えて下さい。
印象は“思ったよりシンプル”。なんだかすごく豪華なものが出てくるようなイメージがありましたが(メニューしか見たことがないせいでしょうか)、見た目も味わいも素朴で、肩肘張らずに気軽に楽しめる食事でした。それでも、毎年、世界からの集まったお客様にスウェーデンらしいものを味わっていただこうとシェフが工夫に工夫を重ねているそうです。メニューは晩餐会当日まで秘密なので、ノーベル賞の中継では何が出されるか見るのも楽しみのひとつです。調理をするコックたちも当日の3日前にやっとメニューが知らされるそうですよ。
ノーベル晩餐会で使われる食器はノーベル財団の所有物で、この日が終わると1年間金庫に保管されます。
ノーベル博物館や市庁舎を見学するとノーベルディナーの セッティングが見られます |
Stadshuskallarenで使われる食器やグラスは、ノーベル財団が使っているものと同じです。(食器はRorstrand社、グラスはOrrefors社、カトラリーは山崎金属工業)
レストランではノーベルディナー以外のメニューもありますが、この食器が使われるのはノーベルディナーメニューの時だけです。ノーベルディナーの料金が高いのは、この食器を使っているからでもあります。ノーベルディナーを召し上がる時は食べ物だけでなく食器やグラスもお楽しみ下さい。
これらの食器・グラスは、NKなどのデパートや食器を扱うお店でも買えますので、自宅でノーベル晩餐会風パーティを楽しみたい方はぜひどうぞ。
テーブルが小さい?そう、気が付きましたか。
実際のノーベル賞晩餐会は市庁舎の青の間で行われます。普段はいすやテーブルなど何も置いていないので広く感じますが、1300人分のテーブルといすをセッティングした時のことを想像してみて下さい。受賞者やロイヤルファミリーが座るセンターテーブルは、真ん中に花が飾ってある広いテーブルですが(冒頭の写真)、その他は信じられないほど狭いテーブルがぎっちり詰まっています。
実際のノーベル晩餐会のセッティング後の様子 |
スタッズヒュース シェラーレンでも通常のレストランと比べるとかなり幅の狭いテーブルが使われています。ここでも本物のノーベル晩餐会の雰囲気をお楽しみ下さい。
ストックホルムの思い出に、ぜひ一度ノーベルディナーを召し上がってはいかがでしょうか。美しいプリンセスや王様、お妃様に囲まれて過ごした山中さんの気分が味わえるかもしれません!?
(ストックホルム支店 S)
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