2011年11月7日月曜日

ストックホルムの世界遺産 森の墓地(スコーグスシュルコゴーデン)



ストックホルム中央駅から地下鉄で南に向かうこと約14分、「Skogskyrkogården」という駅があります。
出口を右に曲がると、菩提樹の並木道沿いの右側は石の塀に囲まれた墓地になっています。
ここが20世紀以降の建築物では初めて、1994年に世界遺産に登録された森の墓地(スコーグスシュルコゴーデン)です。
自然の一部として生きるべき人間の摂理を表現した建築作品として、多大な評価を得ているスウェーデンでも最大規模を誇る墓地のひとつです。
北欧人にとって精神的な故郷といえる「森」へ還って行く人間の運命を、直感的に悟らせるような建築表現を実現したこと、葬儀場の細部にいたるまで、参列者の心情を配慮した設計をしていること等が特徴です。

19世紀後半、ストックホルムの人口が急増したことに伴い、ストックホルム市南郊外に新しい墓地を建設する計画が立てられました。
そこで1914年、自然と建築芸術を重視した墓地造成のための国際建築設計コンペティションが公示され、若き建築家グンナル・アスプルンドとシーグルド・レ-ヴェレンツの作品「松林」が選ばれました。
それからこの墓地の建築が続けられ、1940年に現存の礼拝堂が完成、1961年に追悼の丘が完成しました。
建築家アスプルンドはこの森の墓地建築に半生を費やしました。他に有名な建築作品として、ストックホルム市立図書館があります。

敷地面積が約100ヘクタールもあるこの墓地を徒歩で周るのに、最低でも1時間はかかります。
この墓地内には、火葬場1ヶ所、葬儀用礼拝堂5ヶ所、屋外斎場1ヶ所、ビジターズセンター、匿名共同墓地、約10万の墓があります。
緩やかな傾斜を上がって入り口の門をくぐると、開けた丘陵にシンボルである大きな十字架のモニュメントが見えます。
夏の間でしたらピクニックをしたくなるような、明るく気持ちのよい芝生が広がっています。



右奥の森の中を登っていくと、そこには匿名の共同墓地(ミンネスルンド)があります。
ここには絶えず色とりどりの切花や手紙、ろうそくが供えられています。
匿名の共同墓地に埋葬される場合、遺族には散骨の日時や場所は知らされず、この敷地内の森で散骨が行われます。

森を通って丘の上に出ました。階段を登ると、楡の木に囲まれた「瞑想の丘」があります。
丘の下方には池があり、天気のよい日には、この「瞑想の丘」が池の表面に映し出されます。

池の向こうには、火葬場と3件の礼拝堂が並んでいます。これが、「森の火葬場」、「信仰の礼拝堂」、「希望の礼拝堂」、「聖十字架の礼拝堂」です。それぞれの礼拝堂には、参列者へ対する配慮が施されており、それぞれの葬儀への参列者が近くで顔を合わせない様に出入り口が別々にあったり、参列者が集まることのできるような中庭があったり、出口から南西の方角にあたる丘陵が見えるようになっています。




丘を降りていくと、モミの木と松林の森の間に888メートルあるという「七井戸の小道」が続いていて、奥に「復活の礼拝堂」を望むことができます。


3件の礼拝堂を通り過ぎ、森の方へ進んでいくと左手には最も北欧らしい礼拝堂である「森の礼拝堂」があります。
門には、「今日は私、明日はあなた」とラテン語で記述されています。この小さな門をくぐると右手には待合室があり、まっすぐ進んでいくと、三角の屋根でできた白い壁の教会があります。森の中にたたずむこの教会は、収容人数30名位の小さな教会です。



更に奥のほうへ進んでいくと、緑色の大きな屋根のビジターセンターがあります。
ここは、カフェ、お土産屋、この墓地全体のインフォメーションセンターになっています。
何よりこの広い敷地内で、トイレ休憩ができる大事な場所でもあります。
ただし、このビジターセンターは、夏期のみ営業しています。
針葉樹林の森の中には、たくさんの墓石が並んでいます。
ひとつの墓石には、5名まで埋葬が可能だそうです。親族で同じ墓石の下に5名まで埋葬することが多いそうです。
墓地自体は、コミューンが無料で期限をつけて貸し出しています。ストックホルムの墓地では、最後に埋葬された人の埋葬時から数えて25年の墓地貸与期間、と期限が決まっているそうです。

スウェーデンでは11月5日万世節に、亡くなった人を弔う為に多くの人が墓地に訪れ、花やろうそくを供える習慣があります。ろうそくの灯りに包まれた森の墓地(スコーグスシュルコゴーデン)の夜の光景はとても美しいものです。

交通:
 ストックホルム中央駅より地下鉄緑のライン(Farsta Strand行き)に乗り9つ目
"Skogskyrkogårgden"で下車(所要時間約14分)駅出口を右折徒歩3分

入場:
 無料 年中無休
ビジターセンター(展示場、カフェテリア)は夏期のみ 11時~16時営業 
5月、9月は日曜日のみ、6月~8月は毎日営業

訪問される方はホームページをご確認ください。
ホームページから日本語の資料ダウンロード可能です。
www.skogskyrkogarden.se/en



おまけ: 地下鉄の駅"Skosgkyrkogården"の出口を出てすぐ、横断歩道を渡って左に10mほど行きますとベーカリーカフェ「Bakgården」があります。ここでは石釜で焼いた美味しい天然酵母パンを食べることができます! 毎日営業しています。
http://www.enskedebakgard.se/

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